カミュの『異邦人』は学生時代読んだ気がするが、全く内容を覚えていない。自分的に言えば「先月、母ちゃんが死んだ」だ。一か月前、入院して10日で亡くなった。足は悪かったが、口と頭はこっちが驚くほど元気で、誰もがあっけない死を驚いていた。通院はしていたが、デイサービスにも行かず、子の自分の介護を受けることもなかった。日頃から「世話にならないで逝きてえ」と言っていたのを実践したようだ。あの世で夫と倅と(仲の悪かった)嫁と会えて良かったろう。
それにしても1~2週ごとに買い物補助で行く俺に一方的に話をするか、たまに来る親戚と話をする以外毎日TVしか相手が無く、することもない生活はどんなものだったろうか。まだ体の動く自分は遊びで時間を費やすことができるが、動く手段もなく相手もいなくなれば、家でじっとしているしかない。こんな生活を強いられていた母は暇という苦痛に苛まれていたのかも。永遠を生きる苦しみに耐えられるのは神しかいないとよく言うが、母も日々の退屈な苦しみからやっと解放されたのかもしれない。生前、兄弟姉妹で自分だけ残ったと嘆いていたから、やっと知り合いの多い世界に行けたというべきか。葬儀後は連日猛暑なので、涼風と清らかな冷水のある極楽浄土に行ければ至福だ。
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