老後2000万円不足問題

 6月3日に、金融庁の金融審議会が「高齢社会おける資産形成」をテーマとした報告書を発表。年金だけでは老後資金が2000万円不足という点がクローズアップされ、15年前に政府がつくった「100年安心年金」が嘘だと批判され、政府も不適切と釈明。

 しかし、年金が安心などと思っている(思いたい)のは受給者の老人だけであって、現役世代、特に若い人はとっくにあきらめている(冷ややか)のが正直なところだろう。これを書いている自分自身が受給者だから、本音を言えば「なんとか我々の年代は滑り込みセーフ」と思っている。自分たちより多くもらっている後期高齢者には嫉妬?を抱き、現役世代には申し訳なさと憐れみを持つという、いやらしいポジションにいるのが現実である。

 2000万円不足の内容について、いくつか言いたいことがある。1つ目は、報告書が厚生労働省でなく金融庁のものであること。要は40数兆円ともいわれるタンス預金を投資に回して景気回復につなげたい意図があるのに、それを隠し、さも国民のためのアドバイスですよと言っていることがいやらしいのである。上から目線で「貧乏人よ、若いうちから投資してためておけよ!」と言っているようにみえることだ。これがイラつかせるのである。(若いうちから将来のために準備するのはいいとわかっていてもだ)

 2つ目は標準家庭夫婦2人の年金基準が22万円の点。(会社員夫の年金が約16万円、専業主婦の年金6.5万円)当然だがこれに及ばない支給額の人が相当数いるということだ。私の老親は農家だったから、夫婦合わせても国民年金10万円ほどである。このレベルの支給額の人から見れば、不足分は2000万円どころの話ではない。むしろ、うらやましい人の話だと思っている人も多いのではないだろうか。

 3つ目は夫婦そろって95歳まで生きる前提の点。果たして、日本国民の中で95歳まで本当に生きたいと思っている人はどれくらいいるのか、自分自身は疑問に思っている。「そんなに長生きしたい?」と聞きたい。死を嫌なもの、避けたいとする気はもちろんわかる。若い時分は当然のこと。でも、自分が老人になってみると、死をもっと身近に考えることがむしろ平穏な気分を生んでいる気がする。老化や病気、死を受け入れることが年相応でいいなと自分は最近感じている。逆に、アンチエージングのための化粧品やサプリのCMを見るたびに、これに踊らされる人はつらいのでは、と思うようになっている。

 95歳まで生きる心配をするより、いついなくなってもいいように、身辺整理をして心配の種をなくしておきたい、それが今の私にとっては優先度が高い。


永遠の安らぎ

サイトのURL avyaya nirvana はサンスクリット語で「永遠の涅槃」  自分が老いていく中で、自分が見たもの、感じたものを通じて安らかな日々を得たいと思っています。

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